結局のところ、電子出版はどこへ行くのか?その2

さて、「結局のところ、電子出版はどこへ行くのか?その1」からの続きである。

その1までは、電子出版市場の現状を考えてみたわけだ。
その辺を踏まえて、電子書籍市場を活性化させるにはどうしたら良いのか?

まず、市場とは、「読者数×読書量」と言ったが、活性化させるためには何が動けばいいのか?
それは、市場を牽引している「出版社」と「書店」だろう。
出版社と書店が協力し合い、それぞれの立場で市場を活性化させる必要がある。

まず出版社の方から考えてみる。

出版社が電子書籍市場を活性化させるためには、より良い電子書籍のコンテンツを作る必要があるのだが、そこで以下の要素が必要なのだろう。

コンテンツ数 × コンテンツクオリティ × スピード × 企画

それぞれだが、コンテンツ数とクオリティに関しては言うまでもないだろう。
これらが充足しないと、市場の活性化も何もない。
しかし、これは書籍全般の問題であり、今すぐ解決・・・とくに電子書籍固有の問題ではない。

電子書籍特有で、かつ解決できそうな問題が、スピードだ。
スピード問題とは紙書籍発売に比べて電子書籍は発売が遅い事。
マンガや小説など、新刊を同時発売しないことが多いのだ。
おそらく理由は、新刊を発売するのに、電子書籍も同時に発売してしまうと、紙書籍が売れなくなる・・・と言う懸念があるからだろう。
出版社と印刷会社などの大人の事情を考えれば当然のことだ。

が、本当にそうだろうか?

アメリカでは、紙、電子、それぞれでマルチに発売される書籍のうち、93%が同時に発売されるそうだ。
これは事実だ、結果が良好かどうか、結果を出すのはまだ早いと思われるが、現在ではそうなっているし、それで良しとされている。

日本で同時発売するとどうなるのだろうか?
最近、ようやく検証が進んできているそうで、結果というものはまだ出ていないそうだが・・・

一例として、とある(巨人が出てくる)マンガ。
詳しい数字はまだ確認でき無いが、関係者の話によると、電子と紙、同時に発売した巻は、その前巻よりも売上が上がったそうだ。
これだけでは、人気のほど、タイミング、など不確定要素が多すぎるようだが、その他のデータの検証からも、電子が売れたからと言って、紙の書籍の売上が減る・・・と言うことは今のところ無いそうだ。

とは言っても、いずれ紙は減ってくるだろうが、その際には紙では売りにくい書籍と、電子では売りにくい書籍に傾向が分離してくるだろう。
それでも、紙媒体の売上は減ってくるとは思われる。

しかし、「その1」でも書いたが、「読書」と言う時間は放っておいたら減ってくるのである。
何もしなければ、書籍の販売絶対数は減るのだ。
それを止めるためにも、電子という媒体も活用し、紙の苦手な分野の書籍を電子にして市場を活性化させると考えてはどうだろうか?

そう考えるのは不自然な流れではないと思う。

今のうちに、電子、紙、それぞれの書籍を同時発売し、それぞれで売りやすい傾向を掴み、今後のマーケティングに活かしていく必要があるだろう。

オレが思うに、ファッション誌や週刊連載のマンガ雑誌など、定期購読する率が高く、わりと読み捨てられる雑誌系は電子のほうが売れるのではないだろうか?
(オレは可能な範囲でそうしている。)

また、音楽のスコアブックや・・・他には思いつかないが、そういうものは紙のほうがいいのではないだろうか?
スコアブックを例に挙げたのは、バンドなどの練習時、スタジオへ持ち込むのに電子書籍は見難いだろうなぁ・・・と思ったから。
イロイロと持ち歩き、ハードな扱いをするもの。
また、作家の本。
ハードカバーや書物としてもそうだが、装丁なども含め本自体の価値が高いものは紙媒体の方が売れるのではないかと思う。
と言うか、これらは明らかに紙媒体でないと出せない。
こういうデータを早くから所得し、販売戦略に役立て行くのも必要だと思う。

そして、企画。
これは実例を上げると、よくある「1巻無料企画」などだ。
1巻無料企画を行うと、続きが見たくなり売上が上がるそうだ。
また、それと類似して、「全巻無料企画」というのがある。
これは、何かしらの漫画のシリーズをすべて無料にするという企画だ。
この前の、YahooBookで手塚治虫氏の作品の中から火の鳥など、かなりのシリーズが無料になった事があった。
これは、時間をとても短く限定し(例えば12時間とか)、とにかく読んでもらう事が目的だ。
そうしても、無料時間が終わった後にそのシリーズの売上が上がるらしい。
おそらくコレは、電子書籍特有の現象だろう。
1巻、もしくは途中まで読んだシリーズ。
残りも気になるのだが、電子書籍だと手軽に買えてしまう。
クレジット契約だったり、チャージに残りがあると、ついつい続きを買ってしまう。
本屋に行かないと・・・となると、それは面倒くさくて行かない場合も出てくる。
やはり、電子の手軽さとマッチした戦略的企画なんだろう。

出版社は今のところ、市場を広げるのに、上記のようなアプローチを行なっている。
では、書店はどうだろうか?

 「結局のところ、電子出版はどこへ行くのか?その3」へ続く。

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